facebookがGROUPONを抹殺できない理由【前編】

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遂に6月7日、日本でもfacebookクーポン(USではfacebook deals)が始まった。
ここ1年クーポン市場を盛り上げてきたGROUPONやポンパレとは違い、スマートフォンの位置情報を活用する、クライアント(店舗企業)がセルフサービスで展開できるといった特徴を持っている。

以下の構成で、facebookとGROUPONの戦いの今後について考えてみる。

1.facebookクーポンの仕組みと特徴
2.facebook対GROUPON、USでの戦い
3.facebook対GROUPON、日本ではどうなる?
a.ユーザー視点からの比較
b.クライアント視点からの比較
c.事業面からの比較
d.総合比較と結論

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1.facebookクーポンの仕組みと特徴

◆背景

リアルタイム・オファーと呼ばれるジャンルで、時間、場所を限った形でディール、クーポン等を提供するサービス。
日本では、これまで「イマナラ」がサービス提供してきた歴史がある。
「イマナラ」はロケーションバリュー社が2009年8月に開始、2010年5月からiPhoneアプリを投入。
同社の沿革によれば、2010年2月時点でiPhoneアプリは35万ダウンロード(累計)。ワタミやシダックスにOEMする形のアプリもリリース中。

※ちなみに同社は、ポンパレを運営するリクルートとの資本関係がある。

◆仕組みの概要

4種類のクーポンをセルフサービスで設定可能

①個別ディール
一回きりのキャンペーン用。集客向け
※今回のファミマやローソンは、この型

②ロイヤルティ・ディール
チェックイン回数しばり(2~20回)でクーポン発行。ロイヤル顧客向け

③フレンド・ディール
8人までのグループでチェックインするとクーポン発行。宴会需要向け

④チャリティ・ディール
寄付用のディール設定。寄付のプロセスはお店が管理する必要有り。

【詳細はこちら

◆特徴

・GROUPONの様に事前購入ではない
・現状、手数料は無料
・インターフェイスは正直使いにくい
facebookアプリは起動されることが多くここから使えることは便利だが、
チェックインの流れで探す形になるので、ステップ数が長く、
わかりにくい。
せめてトップ・メニューにクーポンのアイコンでも出ればと思う。

◆利用方法、協賛企業(開始時点14社)

【詳細はこちら

◆ファミマ、ローソンでのクーポンを利用してみた印象など

ファミリーマートは、「ヴィンテージブレンドコーヒー」を各店舗先着10名に商品引換券を提供。【企画詳細はこちら

ローソンは先着5万人に「からあげクン」半額券を提供。【企画詳細はこちら

ファミマの場合はスマホをレジで提示。店員はそれと気付くが、商品券を探すのに苦労をしていた。商品券が見つかった後、その場で商品との交換を依頼すると、レジから商品棚までダッシュ… という状態。
コンビニの店頭オペレーションとしては、なかなか厳しい。

企画の主旨としては、PB商品のサンプリングだと考えられる。インフルエンサーの多いfacebook&スマホユーザーにサンプリングするという狙いは妥当。実際にコーヒーの味について評価のフィードを書いている友人がいた。

ローソンでは、Loppiにクーポンコードを入力する形。Loppiの操作に慣れていないので、やや戸惑ったが、なんとかクーポン券を出力。店頭でのオペレーションはスムーズそのもの。先着5万枚の管理もLoppiで実施できるので、なかなかスマート。

企画の主旨は来店促進と考えられる。実際にどれくらいの売上増につながったかは不明だが、一定の効果は見込めただろう。そもそも「からあげクン」なら半額でも利益は出ているだろうし…。

2.facebook対GROUPON、USでの戦い

USではfacebookの浸透度が日本より遙かに高い。その意味では、facebookは日本よりも優位に戦えそうなものであるが、USの業界をウォッチしている有力ブログであるYipitはfacebookはGROUPONを倒せないと見ている。以下は、その要約。

【参考】
US FBユーザー1.5億人 人口3億人 浸透率50%
日本 FBユーザー360万人 人口1.25億人 浸透率2.4%
資料:FBユーザー数はsocialbakers.com 6/15時点
※厳密には、スマホの普及率の考慮が必要。詳細は後述。

Yipitは4つの理由をあげている。

①facebookには強力な営業部隊がない

GROUPONは営業だけで3,000人、facebookは全社員で2,000人
パートナー企業を使うが、新鮮な情報を集めるには限界がある
彼らのDNAには、「強力な営業部隊を作る」という因子はない

②お店はセルフサービス型が苦手

GROUPON STORE(セルフサービス型ディール展開ツール)の苦戦、
Googleですら消極的

③facebookは分かりやすいクーポン情報源ではない

分かりやすさが足りないので、GROUPON、Livinsocialの補完的な位置づけ
になっている

<筆者>確かに、facebookのスマホ・アプリのナビゲーションは分かりにくい

④ユーザーはfacebookのオススメを信頼していない

ユーザーにオススメするには、店の目利きとディールの目利きが必要
店の目利きはYelp(※USの「食べログ」的サイトhttp://www.yelp.com/)で
補えても、ディールについては方法がない
facebookの場合は、ディールは友人の目利きを待たなければならない

<筆者>なので、タイムリーな新規集客には弱い部分がある。

とは言え、相当痛めつけるであろうと…
“Facebook Won’t Kill Groupon, LivingSocial but It Will Hurt Them”

元記事

3.facebook対GROUPON、日本ではどうなる?

a.ユーザー視点からの比較

◆facebookは利用対象者がまだまだ少ない

まず、facebookクーポンは、利用対象者が限られる点を確認したい。
現在のサービスを利用するには、facebookユーザーで、かつスマホ利用者である必要がある(※厳密には、さらにアプリをダウンロードしている必要がある)。facebookユーザーの多くはスマホを使っている印象もあるが、facebookユーザーの半数がスマホ利用者と仮定しても、対象者は180万人。人口比で約1.5%に過ぎない。

一方のGROUPONはデバイスの制約がないし、モバイル対応も進んできており、約9,500万人(平成22年通信利用動向調査9,462万人、人口普及率78.2%)のネットユーザーのほぼ全てが対象になる。

ちなみに、USの場合は、facebookの人口普及率が50%、スマートフォンの普及率は36%(Nielsen)だから、単純な掛け算では18%が対象になる状況。

◆現状、ユーザーの利用シーンが違う

GROUPONの場合は、メールマガジンを見たりサイト訪問をきっかけに、言ってみたいお店やイベントのことを知るのが一般的。facebookクーポンは今いる場所を起点に自分のニーズにあったお店を検索するサービスである。
この違いを踏まえると、ユーザーからすれば2つのサービスは使い分けることができる。

ただ、GROUPONが展開を始めたGROUPON NOW!(下のビデオご参照)というサービスは明らかにfacebookと競合する可能性がある。中期的には両社は正面から戦うことになるだろう。

http://www.youtube.com/watch?v=Vgk1YfInZoM&feature=player_embedded

◆ディールの提案力は明らかにGROUPONが上

GROUPONの場合、そもそもユーザーへの新しい消費経験の提案が肝なので、営業がお店と話しながら魅力的なディールを設計することに力を注ぐ。
Yipitが言うように営業の数の圧倒的な差も大きな力の差につながる。

一方、facebookの場合はセルフ型なので、お店としてはどこまでやればどんな効果が出るかわからないし(※経験値の蓄積と共有が遅い)、利用対象者も限られるため、保守的なクーポンになってしまう可能性が高い。

また、ディールの見せ方についても、GROUPONの記述と比べるとfacebookは全くあっさりしており、現状ではユーザーへの提案力には大きな差がある。

◆facebookとしては、アプリがよく起動される点が優位。ただ視覚的な提案力がキー

スマホが普及して利用度が上がるに従い、アプリ間の競争が激しくなってきている。その結果、ダウンロードをしたもののあまり起動されないアプリや、フォルダの奥で忘れ去られているアプリも増えつつある。facebookのアプリは頻繁に起動される可能性が高いアプリであるため、GROUPONやイマナラなどと比べて起動されやすいことは明らかだ。

Yipitが書いているように、「ユーザーはfacebookにクーポンを期待していない」という現状はよく踏まえておく必要がある。その意味では、如何に上手くユーザーに視覚的な提案をし、ユーザー行動を変えていけるかがキーになる。
いくら頻繁に起動されるアプリでも、狙った利用方法をしてもらえなければ意味がない。

◆ユーザーから見たソーシャル機能には大差なし

GROUPONの場合、友達を誘って行きたい場合は、メールやTwitterなどを組み合わせる必要がある。Facebookの場合は、通常のクーポンは一人でもらえるので友達を誘う必要はないが、フレンド・クーポンを一緒にもらいに行く場合に限って、facebookをすぐに使えるというメリットはある。ただ、実際にそこが活きるのは、クーポンの魅力が非常大きな場合に限られるだろう。

一方で、facebookクーポンをもらうためにチェックインをすると、友達にフィードが流れることがfacebookクーポンの特徴である。ただ、この価値は考えどころ。

友達がクーポンを取得したというフィードは読み手にとって価値があるだろうか?確かにおトクな情報が流れてくるのは嬉しいけれど、それらは自分の欲しいものばかりとは限らない。
もし、大量の無用のチェックインのフィードが流れてくれば、やがて見なくなる或いは、削除の対象となるだけではないだろうか。
(※ハイライトの中で残れるのかという素朴な疑問もある…)

ユーザーの立場からすれば、クーポンの情報よりも、むしろ利用後のレビューをシェアしてもらいたいと思うが、どうだろうか。

以上をまとめると、facebookの実名型SNSとしての利点を活かして、友達を誘ったり、友達に情報をシェアするという意味での差別化要素は特に無いと言って良いだろう。

後編へ続く