フラマ本執筆時点で注目していたVillageVinesが、6月にsavoredという名前に変えてウェブ・サイトをリニューアルしていた。
コンセプトは
「クーポン(deals)から発見(discovery)へ」
肝はZAGATのレビューを組み込んだことだ。
併せて、利用シーンのタグを充実して店舗の検索性を向上させ、展開都市を5から10に増やした。
従来から、高級飲食店対象に割引を30%とマイルドに設定し、予約機能と組み合わせることで、店舗側の稼働率を上げることを重視したサービス。
店舗は稼働状況を見ながら、クーポンで予約可能な時間帯を設定することが可能。
高級飲食店は既存客を特に大切にするから、共同購入クーポンの様に一気に大量の集客はなじまない。むしろ稼働が低くなる時間帯を捉えて、機動的に新規顧客獲得をすることが相応しい。
予約名を言えばチケット等の提示は一切不要で、自動的に精算時に割引が行われるというスマートな仕組みでもある。
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6月時点で25万人強のユーザーがいる模様。
500のレストランと大部分は継続的な取引をしており、今年は25百万ドル(約20億円)の店舗売上創出をできるペースだと言う。
(半年経過時点、残り6ヶ月は店舗倍増とすると、ざっくりレストランあたり約270万円/年の売上増)
米国のGDPが日本の3倍とすると、日本のフラマ・サイトで言えば、月商1億円程度の「一休マーケット」、「くまポン」あたりより小さい中堅クラス。
地味な進化ではあるが、店舗とユーザーをマッチングさせる仕組みを着々と進化させている印象だ。
大規模なフラマ・サイトの危なっかしさとは対極的。
savored の経営陣は、今後、現在のサービスをスパや旅行分野へ展開することを想定している模様。
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ただ、これだけでは、あまりインパクトは大きくないと思っていたのだが、7月に入って日本にも進出しているレストラン予約サービス・サイトのOpenTableとの提携が発表された。
日本市場とは随分距離のある印象だが、OpenTableは2009年に上場して以来、順調に企業価値を伸ばして、現時点では約14.7億ドル(約12百億円)の企業価値までに成長している。(参考:ぐるなびの企業価値は213億円)
つまり、米国では予約サービスが日本以上に普及しているということだ。
※OpenTableは青のライン
savoredとOpenTableは予約システムという意味では明らかな競合。
しかしながら、ある記事によれば、Opentableはレビューや共同購入クーポンといった最近の新しい展開で、YelpやGROUPONに大きく差を開けられていた様子。
savoredとの提携を機に巻き返しを図ろうとしているとのこと。
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確かに日本のOpenTableを見ても、課題は多そうだ。
(知っているレストランの予約しか、する気が起こらない…)
実際の提携の様子は、OpenTableのタブ・メニューの1つ”Meals for 30% Off”をsavoredの運営としている形。
ただ現時点では提携地域は、サンフランシスコ、フィラデルフィア、アトランタ、ワシントン、シカゴなど限られている。
savoredにすれば、提携が上手く進めば、OpenTableの取引店舗、ユーザーにリーチできるので商機は一気に拡がる。
一方のOpenTableとすれば、提携が上手く進めばsavoredに資本提携を持ちかけることになるだろう。
日本の場合、これまでレストラン等の予約をオンラインですることは少なかったが、今後スマートフォンの普及によって、そこは変化する可能性がある。
また、GROUPON NOW! の様なリアルタイム・オファーが一般化する中、予約システムとの連携が進むことは自然な成り行きとも言える。
店舗販促のツールとすれば、共同購入クーポン、リアルタイム・オファーに加えて、「予約連動クーポン」が拡大する可能性がある。
中長期的には、リアルタイム・オファーと予約連動クーポンは融合する様にも思える。